nakayama-holinessのブログ

日本ホーリネス教団中山キリスト教会の公式ブログです。

礼拝説教の補足

「ゲラサ人の地方」

 本日の説教で取り上げた悪霊追放の出来事は「ゲラサ人の地方」が舞台でした(ルカ8:26)。説教の中でも触れましたが、ゲラサの町自体はかなり内陸にあり、ガリラヤ湖から相当遠い場所にあります。参考までに、聖書協会共同訳の巻末付録の地図をご紹介します。

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エス時代のパレスティナ(聖書協会共同訳:地図9)

  この地図だと、北(上)のガリラヤ湖から、南(下)の死海に流れるヨルダン川の、ちょうど中間あたりの東(右)の内陸にあります。「ヤボク川」と書いてある少し先です。ヨルダン川から30㎞ほどでしょうか? ガリラヤ湖からだと、直線距離で50㎞ほど離れていますから、豚の大群がガリラヤ湖になだれ込むには遠すぎますね。マタイ福音書では、ガリラヤ湖の南東15㎞ほどの別の町ガダラになっています(マタイ8:28)。マタイはマルコの記事(5:1)を写しながら、「ゲラサは遠すぎるよ」とツッコミを入れながら書き換えたのでしょうね。

 おそらく、「ゲラサ人の地域」は、ユダヤ人にとって「異邦人の地域」という感じだったのでしょうか? 実際に、ゲラサはデカポリス(「10の都市」という意味)に位置していましたが、この地域はもともとギリシア系住民が暮らしていたようで、紀元前63年にローマのポンペイウスが侵攻してきたことで、ユダヤ人の独立王朝だったハスモン家の支配から解放され、ローマから免税の優遇措置を受けて10の都市による都市連合を組織していました。その後も、シリア州の総督の管轄下で自由都市として栄えたようですから、ヘレニズム文化の香りのする町だったのでしょう。養豚業が産業だったというのも、異邦人の地域ならではですね。ユダヤ人にとって、豚は聖書に明確に指定された食べてはならない汚れた動物でした(レビ記11:1-8,

特に7節)。豚の意味合いは、さらに色々ありますが、続きはまた後ほど。

 新改訳2017の巻末の地図では、デカポリス地方が色分けされていますので、そちらも参考にどうぞ。

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新改訳2017:巻末地図11

 

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