nakayama-holinessのブログ

日本ホーリネス教団中山キリスト教会の公式ブログです。

2022年8月25日祈祷会の学び

8月25日の祈祷会の学び動画です

 YouTubeにて配信した祈祷会の学びの動画を、ブログでも提供いたします。


www.youtube.com

 

補足説明①:主の兄弟ヤコブの殉教

 学びの中で主の兄弟ヤコブについて説明しましたが、時間の関係でその最後の殉教の場面については詳しくお話しできませんでした。そこで、ひとこと補足説明いたします。

 3世紀末から4世紀半ばに活躍したカイサリアのエウセビオスが著した『教会史』2.23に、主の兄弟ヤコブの殉教の場面が描かれています。それによると、パウロが皇帝に上訴してローマに移送されたことで、エルサレムユダヤ人が攻撃の矛先をヤコブに向けたことが殉教の要因ということです。

 エウセビオスは、2世紀の教会史家ヘゲシッポスの著作(『ヒュポムネマタ/覚え書き』第5巻)を長々と引用して殉教の場面を説明しますが、その内容は、ユダヤ人の指導者たちが、義人ヤコブに対して、ユダヤ人民衆がイエスを信じて惑わされないように民衆を説得することを求めたさにもかかわらず、彼が逆にイエスが神の子・メシアであることを明確に証言したため、神殿の塁壁から投げ落とし、石打刑で石を投げ続ける中、なお彼らのために赦しを祈るヤコブに、ある縮絨工(毛織物職人)が布を打つ棒でヤコブの頭を打って息の根を止めた、というものです。

 エウセビオスはまた、1世紀のユダヤ人歴史家ヨセフスの著作(『ユダヤ古代誌』20.197-203)を引用して、この事件が、ちょうどローマ総督フェストゥスの死後(紀元62年)に総督に任命されたアルビヌスが到着するまでの空白期間に、大祭司アンナス2世がサンヘドリン(最高法院)を招集して、裁判で本来権限のない死刑判決をヤコブに下して処刑したと説明します。ヘゲシッポスもヨセフスも、この義人を不当に処刑したことの天罰として、その後ユダヤウェスパシアヌスの軍隊によって包囲され、最終的には滅びることになったとして因果関係で結びつけており、エウセビオスはその説明を正当なものとして紹介しているのです。

 なおエウセビオスは、主の兄弟ヤコブに関する記述の最後に、新約聖書ヤコブ書が、初代教会の人々に知れれていなかったことから、教会では広く読まれているにもかかわらず、ユダの手紙ともども「偽書」と見なされていることを紹介しています。

エウセビオス『教会史』、秦剛平訳[講談社学術文庫講談社、2010年]、131-37頁)

エウセビオス『教会史』

補足説明②:ピーナッツコミック

 祈祷会の学びの中で、ヤコブ書2章14-26節(特に15-16節)に関連するピーナッツコミックを紹介するつもりでしたが、時間切れでブログの方に回すことにしましたので、遅くなりましたがご紹介します。(実は、動画収録の時点ではかなり時間をオーバーして話してしまったためブログに回すことにしたのですが、編集作業でいろいろ削ったら最終的に全体で25分程度になりましたので、諦めずに動画を撮っておけばよかったと思いますが、今となっては後の祭りです。)

Charles M. Schulz, The Complete PEANUTS: 1955-1956 (Seatle: Fantagraphics Books, 2004), p. 151 [Dec. 16, 1955].

このコミックストリップは、1955年12月16日の新聞に掲載されたもので、セリフは以下の通りです(手元に英語版しかないので、私訳です)。

チャーリー・ブラウン:「スヌーピーがなんだか寒そうにしてるよね?」

②ライナス:「確かにそうだね。行って慰めてあげようよ。」

③ライナス:「元気出して、スヌーピー」、チャーリー・ブラウン:「そうだよ、元気出して」

スヌーピー:(?)

 ちなみに、ヤコブ2:15-16は以下の通りです。「もし、兄弟か姉妹が、着る物もなく、その日の食べ物にも事欠いているとき、あなたがたの誰かが、その人たちに、『安心して行きなさい。暖まりなさい。存分に食べなさい』と言いながら、体に必要なものを与えないなら、何の役に立つでしょうか。」

 このコミックストリップでは、寒さで震えているスヌーピーのところに、暖かい服に身を包んだライナスとチャーリー・ブラウンが近寄って、ただ「元気出して」と声を掛けただけでそのまま立ち去る様子が描かれていますが、ヤコブ2:15-16の指摘する偽善とぴったり一致しますね。この聖書箇所を背景に読めば、4コマ目のスヌーピーの言葉にならない「?」は、彼らの偽善的態度に突きつけた強烈な疑問符のように見えます。作者のチャールズ・シュルツ氏は若い頃、日曜日の礼拝前に小グループで聖書を学ぶ教会学校で教師をしていたほど聖書に精通していますので、おそらくこのヤコブ書の聖句か、あるいはヨハネの手紙1の3章17-18節などを念頭に置いてこのコミックストリップを描いたのでしょう。

 

お詫び

 よく考えたら、ライブ配信から事前収録のスケジュール配信に切り替えて以来、なんとなくブログに祈祷会の学びの動画を埋め込んで提供する作業が滞っていて、申し訳ありません。それでも最初のうちは気をつけてブログにアップロードしていたのですが、基本的にYouTubeで視聴できることからだんだん滞って、次第に月末にまとめてアップロードするようになり、ついにその作業が完全にストップしておりました。そのまま埋め込まないまでも、月末にまとめてリンクを貼るくらいはした方が良いと思いますので、後日改めて、6月、7月、8月分の作業をいたします。

 

宗教法人日本ホーリネス教団中山教会・ 〒273-0024 千葉県船橋市二子町604-1・ 牧師:河野克也 Katsuya Kawano