nakayama-holinessのブログ

日本ホーリネス教団中山キリスト教会の公式ブログです。

2023年12月21日祈祷会の学び:ヨブ記6章

先ほど終了した祈祷会の学びの補足です

 本日の聖書通読箇所はヨブ記6章でしたが、ヨブ記全体の構成も含めて、なんとなく1章から7章あたりを見てみました。それで、2020年9月17日の祈祷会の学びについて解説したブログの記事を再録します。さらに、並木浩一先生の『ヨブ記注解』の「序論」から、ヨブ記全体の構成を示した図をご紹介します。

 最後に、来週から1月末までの予定を掲載します(12月28日と1月11日に配信をお休みします)。

 

*****(2020年9月17日のブログより)*****

神を呪う/祝福する

 複数の訳を比較すると、いろいろ気づくことがあります。例えば、聖書協会共同訳でヨブ記1章5節を見ると、ヨブが子どもたちの誕生パーティーが一巡りすると(つまり、1年ごとに)、「もしかすると子どもたちは罪を犯し、神を呪ったかもしれない」と心配したヨブが、「朝早く起きて、彼らの数に相当する焼き尽くすいけにえを献げた」とあります。聖書協会共同訳の2018年に最初に出版された引照・注付きの版では、この「呪った」のところに小さくアルファベットの小文字の a が付いていて、上下2段組の上段の下にある引照・注のスペースを見ると、引照の終わりの区切り線の後に、a 直訳「祝福した」と書かれています。ただし、後から出た引照・注なしの「スタンダード版」では、この情報は出てきません。

 新改訳2017では、引照・注のスペースは、2段組の下段の下にまとめられています。ちなみに、ヨブ記1章5節には、片カッコの数字 2) が付いていますが、この数字は引照の印で、下の引照を見ると、「②ヨブ 二 5、9」とありますが(二は漢数字の2)、特に「呪う」と訳したヘブライ語原語の直訳が「祝福する」だとは書かれていません。新改訳2017では、本文上の異読や別訳などは、数字ではなく * で示します。わかりやすい例は、ローマ3章21節ですが、そこにある「イエス・キリストを信じることによって」に付けられた * を、下の引照・注のスペースで確認すると、*別訳「イエス・キリストとの真実によって」とあります。

 岩波版だと、ヨブ記1章5節の該当部分は、「ヨブは、もしかすると私の息子たちは罪を犯し、心の中で神を讃えたかもしれない、と思ったからである」と訳されています。この「讃えた」の「た」の右に(縦組みなので)、漢数字の12(一二)が印刷されていて、次のページの下にある説明がとても詳しく、勉強になります。引用します(漢数字の表記は、横組みに合わせてアラビア数字に置き換え、聖書の書名の略表記はわかりやすい程度に直します)。

*『旧約聖書XII ヨブ記 箴言』(岩波書店、2004年)4頁、注12の引用

12 原文通りに訳出。「讃えた」は、この動詞が「神を祝福する」という意味で使われる場合の一般的な訳語。諸訳は当該動詞の使用を、ヨブ記作者が神を冒瀆しないために工夫した婉曲表現であると理解して、これを「呪った」と訳している。確かにそのような婉曲表現の事例は存在する(列王記上21:10, 13; 詩編10:3)。しかしここでは、「神さま、大変けっこうなことです」と、神に対する満足感を懐くという意味で「神を祝福した」と解する方が宴の常連にはふさわしい。悪人も「讃え、ヤハウェを侮る」という(詩編10:3)。当該動詞は、「序曲」〔1-2章の「散文による枠物語 I 〕の鍵語の一つである。用例は他に、1:10, 11, 21; 2:5, 9。そのうち、1:10 および 1:21 での使用は両義的ではなく、「祝福する」という本来の意味で用いられている。ヨブ記作者は 1:5, 11; 2:5, 9 の4箇所において、「呪う」の婉曲表現として用いる習慣を前提にした上で、敢えて当該動詞に両義性を持たせている。

 というわけで、この「祝福する/呪う」は、今後の展開を理解する際に、重要な用語のようです。ヨブという人物がどのように描かれているか、神、そしてサタンがどのように描かれているか、ヨブ記の読者にはどの時点でどのような情報が開示されているか、ヨブはどの時点でどのような情報を得ているか、など、ヨブ記の文学的な特徴に注目しながら、読み進めたいと思います。

*****(以上、ブログの再録)*****

 

ヨブ記全体の構成

 *並木浩一『ヨブ記注解』(日本キリスト教団出版局、2021年、21頁)より

ヨブ記の構造

お知らせ:今後の予定

 12月28日:配信お休み(ヨブ記13章)

 1月4日:通常通り配信(ヨブ記20章)

 1月11日:配信お休み(ヨブ記27章)

 1月18日:通常通り配信(ヨブ記34章)

 1月25日:通常通り配信(ヨブ記41章)

宗教法人日本ホーリネス教団中山教会・ 〒273-0024 千葉県船橋市二子町604-1・ 牧師:河野克也 Katsuya Kawano