nakayama-holinessのブログ

日本ホーリネス教団中山キリスト教会の公式ブログです。

祈祷会の学び:スピンオフ(箴言)

箴言全体の構成について

 先週の祈祷会の学びで少し触れた、箴言全体の構成について、メノナイト派の旧約学者ジョン・W・ミラーの注解書(John W. Miller, Proverbs, Believers Church Bible Commentary [Scottdale, PA: Herald, 2004])にある解説をご紹介します。

 まずこの注解書から説明すると、これは再洗礼派の注解書シリーズの1冊で、シリーズ名を訳すと「信仰者教会聖書注解」という不思議な名前になっています。シリーズ名の最初にある「ビリーバーズ・チャーチ」とは、16世紀の宗教改革当時のカトリック教会で行われていた、生まれて間もない赤ちゃんに洗礼を授ける嬰児洗礼(infant baptism)に対して、大人が自覚的に信仰告白をして洗礼を受けるのでなければ意味がないと批判し、嬰児洗礼を否定して改めて信仰告白に基づいて洗礼を授け直した人たちの流れを汲む教会です。当時のカトリック教会から見れば、教会の公式の聖礼典を否定する「異端」ということになり、教会の正式な洗礼に(もかかわらず)二度目の洗礼を授けるということで、その人たちのことを「再洗礼派」(アナバプテスト)と呼ぶのですが、当人たちからすれば、最初の洗礼が本人の信仰告白に基づくものではないため無効と見なされることから、正しい洗礼は大人になってからの1回しか受けていない、ということになります。教会の歴史も厄介ですが、私自身、再洗礼派であるメノナイト派の神学校に留学し、神学的に大きな影響を受けています。

 さて、ミラー教授は現在ある形の箴言を、基本的にはユダ王国ヒゼキヤ王の宗教改革の時に遡ると考えます。箴言自体は、それ以前の統一王国時代のソロモン王の時に、当時の超大国であったエジプトとの政略結婚・軍事同盟によって大きな権力を持つようになったイスラエル王国が、そのエジプトとの文化交流によって知恵文学を学び、そこから受け取った数多くの格言をもとに編纂されたものです。ソロモン王の死後、南北王朝に分裂すると、南ユダ王国は、イスラエルのすぐ北に位置するアラム(シリア)や、台頭するアッシリア帝国の影響下でヤハウェ信仰から逸脱したり、そこからヤハウェ信仰へ回帰したりという変遷をたどりますが、ヒゼキヤ王の時代に徹底的な宗教改革を行い、伝統的なヤハウェ宗教の回復を目指します。その一環として、以前からあったソロモン版の箴言を拡充・編纂したものが現在の形の箴言だ、というわけです。箴言は単なる短い格言の寄せ集めではなく、はじめから「詩」としてのまとまりを持つ詩集として編纂されていたと考えられますが、ミラー教授はその構成を以下のように示します。

 

箴言の構成

 第1部 導入的詩集(1:1-9:18)

 第2部 主要な詩集(10:1-22:16)

 第3部 補足的詩集(22:17-30:33)

 後代の付加部分  (31:1-31)

 

 この各詩集の中に、ミラー教授は、ソロモン版とヒゼキヤ版それぞれの部分を区分けしていますので、その辺りは順次紹介するようにします。

 

 とりあえず、本日の学びの時間が迫っていますので、この辺りにしておきます。

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